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Diamond Jubilee Brompton という相棒

 

まだ寒さの厳しい2014年2月の始め、衝撃的な出会いがあった。

 

2013年の秋から体調が悪かった。
夏は週末にも平日にもサバゲーにボルダリングととてもアクティブに動いていたが、秋になると体調が急降下。土日はずっと家に引きこもる生活が続いていた。

一日に歩くのはリビングとキッチンとトイレの往復のみ。万歩計にすら運動不足と叱られる始末。自分でもそれが良くないことであるとは認識していたが、以前のような生活へと覆すことはできなかった。

年が明けて2014年、やはりまだ体調は復調の兆しがなかったが、2月に入ると少しだけ上昇。外へと出たい欲求が出てきた。

そのタイミングでBromptonという自転車の存在を知る。きっかけはTwitter。自転車を持って電車で移動する輪行という行為について話をしているのを見て、急に興味がわいた。

以前から自転車でどこかへ行くのは楽しいであろうという思いはあった。しかし、遠出した道中で何かトラブルがあって戻って来れなくなくなることをとても怖く思っていた。

でも、輪行できるなら大丈夫。線路に沿ってどこまでも走って行って、疲れたら電車に乗って帰ってくればいい。心配することは何も無い。

 

次の休み、三宮にあるBromptonの専門店「BROMPTON JUNCTION」へ足を運んだ。自宅から電車で2時間。去年の秋から初めての少しだけの遠出。

三宮の駅を降りて、大阪とは違う神戸の町並みを眺めながら店を探して歩くとこ十数分。ようやく見つけた店のドアを少し緊張しながら開けると、そこに、衝撃的な出会いが待っていた。

Diamond Jubilee Brompton。

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イギリスの国旗であるユニオンジャックをフレームとバッグにおごり、そのカラーである赤青白で彩られたボディ。一目見た瞬間に心を奪われた。

 

畳まれた状態で奇妙な形に驚きつつも、店員に声をかけBROMPTONという自転車の持つ特徴や機能性、そして Diamond Jubilee Brompton が持つ希少性についての説明を受けた。

Diamond Jubilee Brompton はイギリス女王即位60周年を記念して制作された特別なモデルであり、その生産台数は全世界で僅か500台。
特別なカラーリングを施され、サドルも本革のBROOKSを設定。ユニオンジャックが特徴的なSバッグを標準装備。

Bromptonは1986年に生を受け、極限まで機能性と利便性を高めた設計をされ、小径の折り畳み自転車としては他を圧倒する走行性を持ち、小さく折り畳む作業に必要な時間はわずかに20秒程度で行え、畳んだ状態での移動用のホイールを自転車のホイールとは別に持つため輪行時も非常に楽に移動できる。

説明を一通り受けた後、その場で購入を即断、すぐさま契約を行った。

なにか、運命のようなものを感じた。
このタイミングで買わなければ後悔する。そう、強く思った。

その場で乗って帰りたかったが引き渡し前に整備が必要とのことで、非常に残念ながらその日は Diamond Jubilee Brompton との別れを惜しみながら店を後にした。

 

数日後、整備が完了した Diamond Jubilee Brompton を迎えに改めて三宮へ向かった。先日の不安とは異なり、少しの興奮を覚えながら。

店に着くと Diamond Jubilee Brompton が飾られていた展示ブースには別のモデルが飾られていた。
そして俺の Diamond Jubilee Brompton は数多くの他の Brompton と並びながらも、一際その存在感をアピールして引き渡しを待っていた。

店員から折り畳み方や注意点などの説明を受け、さらに輪行バッグや保安具などを追加で購入して、ついに Diamond Jubilee Brompton の所有権は俺のものとなった。

 

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店員に礼を伝え、店を後にする。

サドルにまたがり、ペダルを少しだけ漕ぐとすーっとなめらかに、そして想像していた以上に加速する。
漕げば前に進む、それは当たり前のことではあるが、このとき、感動した。

ペダルの重さが、加速が、とにかく気持ちいい。

あえてスチールで作られているフレームの高い剛性のおかげかもしれない。6.8気圧もの高いタイヤの空気圧のおかげかもしれない。

理由はどうあれ、その瞬間に心は突き動かされ Diamond Jubilee Brompton は俺の頼れる相棒になった。