SRS-WS1で音量が下がる問題を検証する

以前に購入レビューをしたSRS-WS1だが、使い込んでいくうちに不具合が出てきた。
今回は具体的に問題点を検証する。

SRS-WS1とは

Sonyが2017年10月に発売した首かけスピーカーである。
音源と無線で接続することができ、部屋のどこにいながらも臨場感のあるサウンドを楽しむことができる。
また、強い振動を起こす機能が備わっており、大音量にせずとも迫力のあるサウンドを作ることができる。

個人的にはPSVRと同時に使うことをおすすめしたい。没入感が一気に加速され、今までにない感動を味わえる。

問題点

端的に説明すると、「重低音をブーストして大音量で振動を発生させると、音量が下がる」という現象が発生する。

このスピーカーは重低音に応じて振動を発生させるようにできている。つまり、サブウーファーを肩に担いでいるようなものだ。
また、振動の設定は弱中強の三段階で設定でき、強の状態では特に大きく振動する。

これを強に設定した状態で、さらに音量を上げている状態で重低音が発生すると、それに合わせて大きな振動が発生する。この時に(振動ではない)通常のスピーカーからの音量が小さくなってしまうという現象が発生した。
また、その後小さいままではなく振動が収まるにつれ音量が元に戻るため、聞いていると音量が大小大小と変化し、聞いていると不快に感じる。

文章や言葉では説明が難しいため、サンプルの音源とスペクトラムアナライザーの解析結果を元に説明を続ける。

スペクトラムアナライザーでの検証

まず、検証に使用したサンプル音源を紹介する。

Perfume 6th Tour 2016 「COSMIC EXPLORER」 のライブ映像の冒頭の音源である。
それをアンプを通し重低音をブーストした状態で録音した。

なおスペクトラムアナライザーは Oxford Wave Research Ltd. がリリースしているiPhone用アプリのSpectrumViewを使用した。

まず、音源のプレイヤーの音量を大きめに、SRS-WS1の振動設定を弱、音量を最大にした状態でサンプル音源を再生し、スペクトラムアナライザーで解析を行った結果がこちら。
なお、結果はサンプル音源の15秒あたりからおよそ30秒間を表している。

冒頭は音源の音量が変化しているため、波が見える。
その後は一定の音量が発生し、高音から低音まで一定の音量で再生されていることがわかる。

次に同じくSRS-WS1の振動設定を強にした状態で、同じくスペクトラムアナライザーで解析を行った結果がこちら。
なお、録音範囲は弱設定の場合より数秒ずれている可能性がある。

こちらでは音量が急激に小さくなり、その後徐々に大きくなる。そしてまた急激に小さくなることを繰り返していることがわかる。
図説したものがこちら。

重低音部分で音量が大きくなっている箇所があるが、これが大きな振動が発生している箇所を表す。
そしてそれが発生すると同時に全体の音量が小さくなっていることが見て取れる。

これで、大きな振動が発生するたびに音量が小さくなることがわかった。

原因?

ここからは完全に推測に過ぎない。

スピーカーから音を出すには電力を消費してコーンを振動させる。
また、スピーカー自体を大きく振動させるためにはさらに多くの電力を消費する。

これらを片方だけで駆動する場合、または両方を小さい出力で駆動する場合には電力が足りるが、両方を最大限に駆動するには電源が不足しているのではないだろうか。
そして、不足している状態でスピーカーの振動の方に電力が割り振られてしまい、音を出すスピーカーへの電力が足りなくなっているのではないだろうか。

期待

正直、このスピーカーには惚れているし、とてもいい買い物をしたと思っている。
それが故に、今回の現象の発生はとても残念に思う。

SRS-WS1は唯一無二の良企画なので、これで製品回収などにはならずに改修を行って使い続けられることを期待している。